連載・特集

2020.3.26みすず野

 伝染病のペストは決して過去のものではなく、海外で感染者や死亡者は出続けているという。世界的大流行(パンデミック)は複数回起き、特に14世紀には世界で1億人が死んだ、と推計される。当時の世界人口は4億5000万人なので、信じられない数と割合だ◆フランスのノーベル賞作家・カミュの小説『ペスト』は、1947年に刊行され、ベストセラーになった。アルジェリアの港町オランに、「奇怪な事件」が起きるところから始まる。人類を襲う災厄の一つとして、ペストを取り上げ、人間たちがその不条理をどう乗り越えるかを描いた◆「ペスト菌はけっして死ぬことも、消滅することもない」。カミュは人間から自由を奪い、不幸をもたらす災厄は、戦争を含めてなくならない、と言いたかったようだ。新型コロナウイルスが世界的な感染拡大を続けるいま、『ペスト』の問いかけに、思いをめぐらせるべきかもしれない◆ついに、東京五輪の延期が決定した。これまで戦争で五輪が中止になったことはあるが、延期は史上初めて。具体的な日程、競技場確保、費用負担など課題は山積。来夏までに開催できる保証もない。

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