連載・特集

2020.3.25みすず野

 二つの五輪の落差に驚く。間に56年の歳月がはさまり、どちらもその時代を映し出す。昭和39(1964)年10月開かれた東京五輪は、敗戦の荒廃から立ち上がり、復興を遂げた日本の姿を世界にアピールする、最高最大の舞台だった◆それは「スポーツの祭典」の枠を超えた、一大国家イベントであり、15日間、日本中が沸きに沸いた。真っ先に思い出すのは、バレーボール女子「東洋の魔女」の金メダルか。家庭にテレビが普及するころと重なり、いち早く買った親戚の家に見せてもらいに行った。その後、日本は経済成長の道を突き進み、物があふれる経済大国となる◆だが、平成のバブル崩壊、少子高齢化と人口減少、大震災、格差、財政難などさまざまな事態を経て、この7月開幕を迎える予定の東京五輪である。準備段階から、すったもんだが繰り返された。新国立競技場建設、大会エンブレムの選び直し、マラソン開催地の変更等々◆そのうえに、新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大という決定打。今秋なのか、来夏なのか、延期の公算が強まっている。国民意識の高揚もすっかり欠いて、何たることだろう。

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