連載・特集

2020.3.20みすず野

 墓は子々孫々受け継いでゆくもの、という固定観念が私たちには出来上がっていた。ところが、家族が縮小し、単独化し、故人を悼む葬儀を含め、遺骨を納める墓のかたちが近年、大きく変容してきた。墓が維持できず、無縁墓となって撤去される前の墓じまい◆「周りに迷惑をかけたくない」との思いが強い。墓じまいのあと、遺骨はどうするのか。合葬墓に収めてもらうのであろう。自治体による公営墓地の合葬墓整備が進み、使用率が高まっている。合葬墓の永代使用権を、ふるさと納税の返礼品にする市も出てきた◆合葬墓の一つが、樹木墓地。樹木を墓標にみなして遺骨を埋葬する。松本市は平成29年秋に使用を開始、これまで遺骨を所持している遺族を対象としていたが、4月からは「自分の遺骨を、そこに埋葬してほしい」との生前受け付けを始める。樹木墓地を含め、合葬墓の需要は今後ますます高まるだろう◆都会では、遺骨が落とし物として届けられたり、身元が判明しても引き取り手がなかったりするケースが増えているという。「遺骨を弔ってくれる人はいますか」の声が聞こえる。春彼岸を機に耳を傾けてみよう。

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