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稲田さんの功績讃える 山形村小坂の農家組合が表彰

小林組合長(左)と談笑する稲田さん

 山形村で出荷向けの青果長芋が広く育てられるようになった昭和30年代半ばから、生産に取り組む稲田秀治さん(86)が、所属する農家組合「小坂第1ポートレンチャー組合」に表彰された。仲間と共に多くの困難を乗り越えて未知の領域を開拓し、今も現役の農家として働く姿を後進の農業者がたたえた。

 リンゴなどを作っていた稲田さんが青果長芋に携わったのは、農協の技師の相談を受けたのがきっかけだった。植え付けて青果にする種長芋が大豊作で育ちすぎてしまったという課題があり、村内での青果栽培を打診された。
 現在にもつながる品質の高い長芋が収穫できたが、ハードルもたくさんあった。長さ1メートル以上に伸ばす青果長芋の栽培では、土を溝状に深く掘って柔らかい土で埋め戻し、育てる場所を確保する。人力が中心の時代には、溝づくりに大きな労力が必要だった。
 組合は、溝を掘るために導入した農機具の共同購入のために結成された。ゴボウ用の機具を転用した初期には組合員が総出でそれぞれの畑を回って作業をした。稲田さんは「効率が悪くて、1日で3~5アールくらいしかできなかった」と振り返る。
 組合は「第1」だけでなく各所に設けられた。機械は改良が重ねられて性能が上がり、当初は仲間内で行った集荷・選果を農協が担うようになるなど体制も整備された。だがその後も問題は次々に浮上する。稲田さんは仲間とともに、連作障害対策や栽培に必須の排水対策などを試行錯誤し、現在の生産技術を確立していく時代の当事者になった。
 組合はこのほど安曇野市で開いた総会で、稲田さんに表彰状を贈った。小林久人組合長(64)は「途中であきらめなかったのがすごい」と先輩をたたえる。長芋畑が広がる農地を「美しい」と感じる稲田さんは、「半世紀以上も生産が続くとは思わなかった。組合の仲間との絆が大きく、協力し合わなければできないことだった」と話している。

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