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墨書の木片大量出土 松本城三の丸跡調査

 松本市大手3で本年度に行われた「松本城三の丸跡土居尻第11次発掘調査」で、中世の生活面から流路が見つかり、中から墨書のある木の薄片などが大量に出土した。特にお経を墨で記した短冊状の「こけら経」は市内で初めて確認され、破片の数は約300に上る。流路では供養のための何らかの祭祀が行われていたと考えられ、松本城が築城される前の人々の営みを知る貴重な手掛かりという。

 発掘調査は道路整備計画に伴い、市教育委員会が実施し、平面積は約430平方メートルとなった。三の丸は江戸時代に家臣の屋敷などが立ち並んでいた場所だが、掘り進むと、戦国時代の15世紀後半~16世紀初頭と推定される流路が見つかった。
 流路は幅6・5メートル、深さ30センチで、南北方向に延びていた。調査地の中で確認されたのは長さが約5メートルだった。流路はきめの細かい土で埋まっており、緩やかな流れだったと推測できる。
 「こけら経」は長さ25~30センチ、幅1~3センチ、厚さ0・05~0・1センチで、亡くなった人への供養や、生前に死後の安楽を祈るために使ったとされる。20枚あるいは40枚をセットにして川に流したり、寺に納めたりした。今回の流路から見つかった「こけら経」には、現時点で2種類の経文が書かれていると分かった。金剛般若波羅蜜経と法華経の一部だった。市教委文化財課によると、「こけら経」の出土は県内では上田市、茅野市に続き3例目となった。
 このほか、流路では「空 風 火 水 地」を意味する墨書などのある短冊状の木片「笹塔婆」や、長さ約20センチの箸のような形をした「斎串状製品」など供養、祭祀に関わる遺物が大量に見つかった。獣の骨も出土した。
 遺物は異なるお経が書かれていたり、仏教系でないものも交じっていたりするため、調査を担当した文化財課埋蔵文化財担当の小山奈津実主事は「流路はさまざまな宗教や宗派の祭祀を行う場であった可能性がある」とする。流路や遺物は専門家の助言を仰ぎ、詳細をさらに探る。
 出土品の一部は、24日まで市時計博物館(中央1)で開かれている調査の速報展で見ることができる。

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