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穂高の西山山麓 猿害深刻 地域ぐるみの対策急務

 安曇野市の穂高地域の西山山麓で、猿害が深刻化している。季節を問わず猿が頻繁に出没し、田畑の農作物を食い荒らすだけでなく民家にも侵入して生活を脅かしている。空き家や遊休農地が身を潜める場となり、ねぐらが山里近くに移っているとの見方もあり、猿が寄りつかない地域ぐるみの対策と捕獲強化が急務となっている。

 「カタカタ...」。穂高有明の柴田捷男さん(74)は2月初めの昼ごろ、自宅の居間で変な物音を聞いた。部屋戸を開けると3匹の猿がいた。玄関近くに置いてあった米袋が破られ、米粒が散乱していた。施錠していない玄関の引き戸から侵入したとみられる。「びっくりして頭が真っ白になった。始末に負えない」と憤る。
 複数の住民によると、穂高有明の古厩の宮城地区、新屋、小岩嶽の一帯では猿の出没が常態化し、県道・山麓線の東側まで20~30匹の群れが目撃されている。食害は田畑の野菜や穀物、庭の木の実など多岐にわたり、農閑期の冬になると未施錠の戸を開けて屋内をあさる被害も出る。市によると、昨年度の被害額は241万円で、3年間で倍増した。
 三郷、堀金両地域の山沿いには侵入防止柵があるが、穂高地域は林間に別荘地が入り組んでいるため設置が難しい。ロケット花火などで追い払っても、空き家の屋敷林やささやぶに身を隠す。「夜に鳴き声を聞いた」という住民の証言もあるという。
 地元でリンゴや野菜を栽培する穂高有明の曽根原久訓さん(53)は「これ以上の被害が出ると農地の維持が難しくなる。地域を守るために行動したい」と危機感を募らせる。小岩嶽区の住民組織・小岩嶽水農里保全会はこのほど、猿を含めた獣害対策の勉強会を開き「餌になる物は外に残さない」「茂みを刈り払う」などの環境整備に理解を深めた。
 市も、計画数の6割程度にとどまっている猿捕獲の強化を模索する。松川村など周辺自治体が取り組む大型おりの導入を視野に、2月末から試験的に西山山麓に設置して効果を検証する。

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