連載・特集

2020.02.18みすず野

 NHKスペシャル「無縁社会~"無縁死"3万2千人の衝撃~」が放映されたのは、10年前の冬だった。家族、地縁、血縁、会社の縁などで結びついていた日本人が、いつしかそうした結びつきを失い、誰にもみとられず死ぬ人が急増している実態を報じた◆年配者のみならず、主に都会に暮らす30~40代が「将来の自分の姿だ」などと、大きな反響を寄せたと知った。「無縁社会」は流行語にもなった。そのほぼ1年後、東日本大震災が起き、人と人の絆が何より大事だ、絆を見直そうと、絆ブームのようなものがあったことも思い起こされる。現代社会の在り方が根底から問われたのだ◆いま、絆社会になりつつあるとは聞かない。むしろ無縁社会は広がり、孤独死は増え、その後始末を請け負う特殊清掃業者は急増し、残った遺骨の弔い先の問題が深刻になっている。「終活」が盛んなのも、子どもがいようがいまいが、一人残された者が葬儀やお墓、お金を案じるゆえだ◆と考えると、単身化した家と家族の力はますます弱まっていて、そこに介護以後を託すのは無理、と言わざるを得ない。無縁社会を踏まえて生きるほかない。

連載・特集

もっと見る