政治・経済

文化財防火デー 地域一丸で訓練

 「文化財防火デー」の26日、松本・木曽地方の文化財で消火訓練があった。初動体制の確認や放水訓練を行い、貴重な文化財や町並みを後世へ守り継ぐ決意を新たにした。

 松本市の国宝松本城では、午前9時すぎに乾小天守から出火、強風にあおられ天守に延焼の危険がある│との想定で消防総合訓練が行われ、松本城管理事務所や松本広域消防局、市消防団、近隣町会住民ら約170人が参加した。住民は消火器を使って初期消火の手順を確かめ、管理事務所職員でつくる松本城自衛消防隊員が観光客の避難誘導や負傷者の応急処置に取り組んだ。天守4階部分に取り残された人を救出後、消火栓やポンプ車から一斉放水をした。
 防火デーの合同訓練は昭和50年から続き、今回は昨年の首里城火災を受け、消防車両配備や放水規模をやや拡大した。市教育委員会の赤羽郁夫教育長は「国の宝で市民の誇りの松本城の防火に対する心構えを再確認し、必要な対応に取り組むことが大事だ」と訓示した。
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 塩尻市片丘の国重要文化財・嶋﨑家住宅であった訓練には、第11代当主の嶋﨑光和さん(68)と家族計5人が参加し、屋内のいろり付近から出火した想定で取り組んだ。嶋﨑さんが「火災発生」と叫んで通報し、取り残された見学者がいないかを家族と協力して確認した。一人ずつ訓練用の消火器で水を噴射し「薬剤を火に覆いかぶせるように」「声を出して他の人と連携することが大切」などと助言を受け、熱心に実践していた。
 嶋﨑さんは「消火のやり方や感覚をしっかり覚えられる」と話した。指導した広丘消防署の川上喜代美署長補佐は「地域の皆さんに防火意識を持ってもらい、貴重な文化財を次の世代へ伝えてほしい」と願っていた。
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 重要伝統的建造物群保存地区に選定されている南木曽町の妻籠宿では、住民約50人が木曽消防署南分署の指導を受け、屋外消火栓の放水手順などを確かめた。交代で筒先を持って放水し、野田温美さん(70)は「思ったより(筒先は)重くなかった」と、実地の体験ができたことを喜んでいた。消火器や自動体外式除細動器(AED)の取り扱い訓練もした。
 妻籠宿には江戸末期から戦前までの古い木造建築が並び、住民組織・妻籠を愛する会の主催で毎年、文化財防火デー当日に訓練をしている。愛する会の藤原義則理事長は「ぜひ気を付けて火が出ることがないようにしていただきたい」と協力を呼び掛けていた。

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