連載・特集

日常に「楽しい!」をもっと⑧

「けん玉の力」
 けん玉は時に人生に大きな影響を与えます。岐阜県で「美濃けん玉ネットワーク」代表をしているOさんのお話を紹介させて頂きます。
 〈エピソード〉40歳の時に骨肉腫と診断され、右大腿骨を筋肉ごと広範切除し、杖歩行の身体障害者となりました。フットサルをやっていましたが、ボールを蹴れなくなってからは仲間と会う機会も減り、まるで隠れるように生活していました。命をつなぎとめ、右足の骨と共にボールを蹴る喜びや仲間との時間、勝利の感動など多くの楽しみを失ったと思っていました。そして、その楽しみはもう二度と得られないと、落ち込んでいたことを思い出します。
 4年が経ってその年のワールドカップの情報を調べていたところ、けん玉ワールドカップを知りました。サッカーのワールドカップにはもとより出られないけど、けん玉なら出られるかも? と思って早速けん玉を購入しました。やってみると難しい、でも成功した時はゴールを決めた感覚に似ていると思いました。
 その後、窪田さんに、近くにけん玉教室がないがどうやって練習したらいいのかを聞くと「自分でけん玉教室を開いてみたらいいんじゃないですか」と、思いもかけない返答をいただきました。けん玉を始めたばかりで知識もない、教えることもできない...ないない尽くしでしたが、何もないんだからやってみたら何か得られるかもしれないと思い立って、美濃けん玉ネットワークを始めました。
 始めてみると仲間にも恵まれて、新しい技を知ったり、難しい技も楽しく教え合えたりする集まりになりました。もう二度と得られないと思っていた仲間との時間や共に分かち合える感動、一度は失った楽しみを、再びけん玉が与えてくれました。
 エピソードここまでです。Oさんはけん玉ワールドカップにも出場し、けん玉を家族や地域の方々と楽しまれています。普段何げなく過ごす仲間と遊ぶ時間や、「できた!」の喜びを誰かと共有することは、とても大切だと再認識させられるお話でしたので、紹介させていただきました。
(窪田保=グローバルけん玉ネットワーク代表・松本市)