連載・特集

2020.1.14みすず野

 古くは小正月までが松の内だった。いまでは小正月の言葉すら聞かれないが、農耕生活に関連する行事として、伝統を受け継ぐ家や地域は残っている。米粉で繭玉をこしらえて木に成らせるのが、それ◆養蚕が盛んだった時代、繭の豊作を祈ったことに由来するという。当地の内田地区などで行われている御柱は、きらびやかな色紙の飾り物を結わえつけた大きな柱を、道祖神わきに立てる。これも五穀豊穣を願ってのもの。こうした風習を途絶えさせず、永く続けてほしいと思う。地域のつながりを確認し、一体感を醸成する意味でも◆小正月は「女正月」と言った。年末から年始めにかけて、離れて暮らす子どもたちが帰って来たり、客がやって来たり、大変なのは料理を作ってもてなす家の女性である。忙しく立ち働いた女性がひと息つけるのは小正月のいまごろ。それで女の年取り、女正月と呼んで、女性が寺社に詣で、年始のあいさつに回った◆その間、男性が家事を受け持った地区も。私たちが現実に生きる社会は、小正月などとは対極の精緻な情報技術・デジタル社会だが、だからこそ大事にしなければならないものがある。