連載・特集

2020.1.13みすず野

 現在の松本市出身の歌人で、国文学者の窪田空穂は大正期、読売新聞社に入社し、婦人・家庭面の「身の上相談」を担当、夫の横暴や無理な縁談、許されぬ恋などの女性の悩み相談に200回以上応じた◆その答えには、39歳の空穂の人生観がにじむと同時に、ほぼ100年前の庶民の生活が浮き彫りにされ興味深い。生き方の悩みに対しての回答は、いまに通じる。どんな仕事に就けばいいかの相談に、「自分の性に合った職業を善い職業ときめて、辛抱と勉強で仕上げ(中略)、思い込んだ仕事だと、辛い事があっても辛抱仕やすく、根気も続きやすい」と述べる◆絵が好きなので、絵かきになりたいが、親に言えないとの悩みには、「絵が好きだといふ事と、画家になれるかといふ事とは別の問題」とし、才能に乏しいと感じているなら「絵は趣味に止めて置いて、職業は他に求める方が生涯の幸福だらうと思ひます」などとアドバイスする◆仕事は自分の性に適したものが善い、と繰り返す一方、ただ夢見ているだけでは駄目と、堅実さを求める空穂がいる。新成人の皆さんには、時代の"荒波"を乗り越え、良き人生をと祈る。

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