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松本の妙勝寺 県宝・旧念来寺鐘楼修理へ 銅鐘80年ぶり復元も

 松本市中央4の妙勝寺(石川隆也住職)は本年度、敷地内にある県宝「旧念来寺鐘楼」を修理し、太平洋戦争中に金属供出で失われた銅鐘を約80年ぶりに復元して取り付ける計画を進めている。県教育委員会などの指導の下、住職3代にわたる願いがようやく実現する運びとなった。間もなく工事が本格化し、来年3月末には釣り鐘の取り付けも含め事業が完了する予定だ。

 12日には県文化財審議会委員ら関係者が工事内容を打ち合わせ、足場が組まれた現場を確認した。
 鐘楼は宝永2(1705)年建立の入母屋造りで高さが約12メートルあり、江戸中期の鐘楼では全国屈指とされる。念来寺は庶民信仰の寺として隆盛したが、明治期の廃仏毀釈で廃寺となった。鐘楼は時間を教える「時の鐘」として残され、大正10(1920)年まで鐘が突かれたという。旧念来寺住職の子孫・青山三樹雄さん(故人)が平成19年に妙勝寺に寄贈した。24年に県宝指定され、25年の耐震診断で大地震で倒壊の危険があるとされた。
 昨年9月の台風21号の影響で屋根の銅板が一部落下したのを機に、修理・復元工事へと動き出した。工事では主に、柱とはりの交差部分の耐震補強と欠損部分を修理し、鐘を復元する。鐘と同様に供出された2階勾欄の「擬宝珠」や柱の装飾「八双金物」も再現する考えだ。
 長さ約152センチ、直径約90センチの鐘の鋳造は、16日に富山県高岡市の工場で寺門徒と「鋳込み式」を行う。総事業費は現時点で2400万円余を見込み、県や市の文化財保護事業補助金も活用する。寺の坊守・石川みつ子さん(56)は「先代住職の思いが形になると思うと感慨深い。皆さんに広く知ってほしい」と語る。

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