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病と闘い描く絵朗らか 堀金烏川の氷川滋さん

 安曇野市堀金烏川の氷川滋さん(71)は、筋肉が痩せていく難病「球脊髄性筋萎縮症」とがんの闘病を続けながら、絵や紙粘土細工を創作している。ペットとしてかわいがっていた犬や猫、テレビ番組の人気キャラクターなどをモチーフにした作品には、氷川さんならでの遊び心が描き込まれており、見る人を勇気づける力がある。21日から市役所本庁舎で開く個展に向け、病床で制作に励んでいる。

 氷川さんが球脊髄性筋萎縮症と診断されたのは、建築士として仕事にまい進していた9年前だった。病状の進行が遅いとはいえ、翌年には左手がまひして上がらない状態となった。ふさぎ込んだ時期もあったが、利き手の右手は健在と気持ちを切り替え、好きなパソコンに向かうなどして日々を過ごしていた。
 絵を始めたのは2年前で、妻・末子さん(72)の勧めがきっかけだった。東京・上野動物園のパンダ「シャンシャン」を手始めにさまざまなものを描くようになり、次第に没頭した。昨春にがんが見つかり安曇野赤十字病院で手術をした後も、翌日にはベッドに起き上がり絵筆を握った。末子さんは「調子が良くなくても昼間は絶対に横にならず描いている。気力に驚かされる」と話す。絵ばかりでは表現しきれないと、最近になって紙粘土細工も始めた。自宅玄関にはこれまでに創作した約120点がずらりと並んでいる。
 2人のおじいさんが会話する様子を描いた「時事放談」や、「おもてなし」の文字とともにタレントの滝川クリステルさんを描いた作品「重たい梨」はユーモアたっぷりだ。氷川さんは「ただ描くだけじゃなく楽しいものに」と狙いを話す。
 創作活動を見た看護師の勧めで、病院祭に展示したり待合室に飾ったりしたところ、同じく筋肉が萎縮する病気の人の家族や、がん患者の人たちから「元気をもらった」との声が多く届いた。
 ずいぶん前から家の中を自由に歩けなくなり、ベッドでの生活になったが「見た人を元気づけ、少しでも世の中に貢献できることが喜び。これからも描き続けたい」と話している。