連載・特集

2019.11.30みすず野

 101歳の天寿を全うし、亡くなられた中曽根康弘元首相。首相在職日数1806日は、戦後安倍晋三、佐藤栄作、吉田茂、小泉純一郎に次いで5位、長期政権だった。「戦後政治の総決算」を掲げて、当時の国鉄、電電公社、専売公社の民営化を実現した◆この功績は大きい。生涯念じた憲法改正など、保守タカ派の象徴的存在だった半面、「風見鶏」とメディアに揶揄されたことも思い出される。権力の座に就くための手段だったのだろう。かのロッキード事件判決を経て、脱田中のあと高い支持率を獲得。外交でも米国のレーガン大統領と互いの愛称で、「ロン」「ヤス」と呼び合うほど信頼関係を築いた◆リゾート開発、地価高騰などに対し、金融引き締め政策を行わず、バブル景気を招いてしまったとの批判も受けた。政治とカネの問題がさまざま取りざたされたなか、その政治手法は、現在の官邸主導のルーツであり、日米安全保障体制の強化策もいまに続く◆「中曽根さんの生涯は、日本が敗戦を越えて、戦後の頂点に向かう軌跡をたどるものでもある」と述べた政治学者がいたが、戦後政治を体現した人だったということだ。

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