連載・特集

2019.11.19みすず野

 たまたま立ち寄った松本市今井の農産物直売所「道の駅 今井恵みの里」で、子どもたちの元気のいい呼び声が響いていた。今井小の3年生が、リンゴ「サンふじ」の収穫と販売体験を行い、1個50円で売っていたのだ◆今井恵みの里の食育事業の一環という。晴れ渡った晩秋の空の下、児童らは地元の果樹園で真っ赤に実ったリンゴをもぎ取り、実際に販売してみて、引きも切らず訪れる消費者のうち、どのくらいの人たちが立ち寄って、どういう表情で買ってくれたかを知った。将来どんな仕事に就こうが、どこで暮らそうが、ふと、この日を思い出すにちがいない◆農業には人と人、人と地域を結びつける力がある。直売所に並ぶ旬の果物、野菜にはおのおののビニール袋などに、生産者の名前が記されている。「私が心を込めて作りました」との宣言で、買う側はその名前、物、値段を確かめてから、籠に入れる。生産者と消費者の信頼関係は、こうして強まる◆軽トラいっぱい、大根を袋詰めして運んできた生産者が、それを店頭に下ろす際、消費者とにこにこ話す姿もあった。このつながりを、次世代に継承したいものである。

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