連載・特集

2019.11.08みすず野

 夜中に目が覚めて寝つけなくなった日、庭に出てその冷気に身を縮めつつ、空を見上げると、オリオン座が斜め東にかかっていた。冬の星座の代表。あゝ冬が来ているんだ、と思った。晴れた日の日中は暖かく、里山や街路樹の紅葉の美しさに目を奪われているので、感覚としてはまだ秋であった◆民家の庭先などに、サザンカの薄いピンク色の花が開花しているのを発見すると、つい童謡の「さざんか、さざんか、/さいたみち/たきびだ、/たきびだ、おちばたき。―」が口をつき、気持ちが和む。これから信州の長い冬が始まるのだけれど、サザンカのぽっ、ぽっと咲いた花が、希望の灯に思えてくる◆毎日のように全国ではやるせない事件、事故が報道され、就任して間もない大臣が次々辞任したり、失言したり、来夏に迫った東京五輪もすったもんだを繰り返している。そもそも真夏開催自体に無理があるのだが、すべからく利権が優先するのだろう◆気が重くなることが多いとはいえ、何かに明るさを見いだし、暮らしてゆきたい。「幸せって、小さなところにしかないよね」。知人がふとつぶやいた言葉である。きょう、立冬。