連載・特集

2019.10.9みすず野

 松本市内田の重文馬場家住宅の土産物の一つに、竹を輪切りにした酒器がある。実に簡単に作られた物だが、陶磁器とは別の良さを感じさせ、馬場家を囲む屋敷林をせん定した際、切られた竹だろうと想像する◆さて、好きな木を一つ、二つ挙げてくださいと言われたら、何を選ぶだろう。自然の姿形を比べる人もいれば、咲く花でやっぱり桜でしょうという人、切られた材や作られた製品で選ぶ人もいよう。かつて「塩の道」をたどって、松本から大町、白馬、小谷を歩いたことがあり、姫川渓谷の新緑のブナ林の心地良さといったらなかった◆栗の木は、いがいがの中から現れるそのつやつやした実が好き。虫が食っていない実を拾えたとき、すっかり童心に帰ってうれしくなる。縄文の大昔から日本人は栗の実を食糧とし、建造物にも用いてきた。栗材は固くて腐食に強いのだ。木目が適度にくっきりし、色合いが派手でなく、さりとて地味でもなく、いい感じ◆きのうは「十」と「八」を合わせた「木の日」だった。塩尻では木育のイベントが先日、繰り広げられたが、木々に親しみ、木を愛し、大切に使う心をもっと育てたい。