連載・特集

2019.10.7 みすず野

 つい先日、本紙「市民の広場」の「口差点」に、松本市内の86歳の女性が「狭い庭の木々」と題して、味わい深い文章を寄せていた。40年ほど前、新築祝いに母が贈ってくれたヒイラギが大木に育ち、その高い枝にムクドリが巣をかけ、ひなを育てていた◆4年前のことで、病床の夫と巣立つ瞬間を見届けよう、と約束したのに外出したわずかな時間に、巣立ってしまったという。いまは亡き夫を思い、庭木が冬の装いへと変わるのを見つめている年配女性の姿が目に浮かぶ。「情報ナビ」に土曜日連載の児童文学作家・小俣麦穂さん(松本市)の「空色の手帳」には、ヤマバトの「ほっとする声、ポッポー」の一編が載った◆ヤマバトの営巣は幸運の証し、巣を発見したらそのままに、といった文面から、小俣さんの野鳥、野生動物に対するやさしさ、愛情が伝わってきて、こちらもほっとした。実は拙宅の庭のナンジャモンジャの木に、ヤマバトが巣を作り、子育てしている◆ツバメと異なり、2羽のひなはとても静か。育て方に秘密があったことを文面から知った。四季の移ろいを実感させてくれる木、鳥たちに歳月を重ねて生きる。