連載・特集

2019.10.8みすず野

 通算400勝、4490奪三振、すごいとしか言いようのない数字だ。298敗にも驚く。弱小球団だった国鉄(現ヤクルト)ゆえ、毎年20勝以上しても20敗近く負けてしまったのだ。プロ野球史上、「最高の投手」と称され、匹敵する人は二度と現れないだろう金田正一さん◆86歳で帰らぬ人となった。長身の左腕から投げ下ろす剛速球と、縦に大きく割れるカーブを武器に、打者をきりきり舞いさせた。「黄金ルーキー」長嶋茂雄のプロデビュー戦、昭和33(1958)年4月5日の超満員の後楽園球場だが、4打席連続三振に封じ、プロの洗礼を浴びせたのは、いまや伝説である◆記憶に残るのは、巨人のV9時代、その巨人に移籍していた大投手が、投げない日の試合、ベンチ入りしていて、川上哲治監督から「代打金田」を告げられ、出てきたこと。一度や二度ではなかったと思う。サービスでも何でもなく、それほど打撃にも優れていた◆ロッテ監督時代は「走れ、走れ」。試合中、3塁コーチャーズボックスに立ち、派手なパフォーマンスを披露して人気を集めた。苦労を感じさせないあの明るい金やん節、もう聞けない。