連載・特集

2019.10.21みすず野

 親による子どもの虐待(最悪は死亡)の事件が明るみに出る度、心を痛めるのは関係者ばかりではない。子どもにとって最も安全、安心できる場所のはずの家庭が、ごく一部とはいえ、そのような状態にあることは、何とも痛々しい◆少し前だが、県松本児童相談所(松本市波田)が2018年度、相談を受けた児童虐待件数が、前年度比21%増の599件を数えて、5年連続過去最多を更新した、と報じられていた。虐待には身体的虐待だけでなく、十分な食事を与えないなど育児放棄、心理的虐待も含まれる。子どもの数は減っているのに、虐待は増え続けている◆児童心理治療施設・県松本あさひ学園(松本市旭2)の児童精神科医師の今井淳子さんは、不適切な養育下にある子どもは、自分が悪い、自分はどうせ価値がない、大人なんて信用できない、何が起こってもいいように構える、といった気持ちが強く、それが言動に表れる、と講演で述べた。信号を発しているのだ◆子育てを周りが見守る環境づくりが、何より求められている。子どもは地域社会が育てる、をいま思い出したい。「こども食堂」などはその好例であろう。