連載・特集

2019.10.20 みすず野

 『地獄めぐり』(講談社現代新書)を読んだ。大分の別府温泉ではない。私たちの先祖が、死後に受ける罪の報いをどう描き、恐れていたのか。いわば地獄のガイドブックだ。帯書きに「これでいつ墜ちても安心」とあった◆地下8階建ての構造で各階にメーンルームとサブルームがあり、犯した罪の内容と軽重で責め苦が異なる。最下階の地獄行きなら着くまでに2千年もかかる。生前の善行と悪業は記録されていて、えんま王庁の裁きの場にそれを映す鏡もあるから、いくら口が達者でも言い逃れができない◆地獄絵図を見られるお寺が近くにないかと安曇野育ちの同僚に尋ねたところ、小学校の遠足で行った穂高牧の満願寺で住職の絵解きを聴き「わりとリアルで怖かった」とか。早速訪ねて、縦横2メートル、4メートルの杉の板に描かれた絵を見せてもらった◆脱衣婆がいる。臼の中に放り込まれ、きねでつかれて餅にされたのではかなわない。骸骨を持った獄卒の鬼は小躍りして何だかうれしそう。あす付「気ままに文学散歩」に満願寺が登場する。秋の安曇野巡りに立ち寄ってみてはいかがだろうか。境内の紅葉は11月中旬が見頃という。