連載・特集

2019.10.19みすず野

 平成26年7月に南木曽町で起きた土石流災害後、町が設けた避難勧告を出す雨量の基準は「1時間10ミリ、連続50ミリ」だった。その後20から30へ、連続も80から120へと緩和されたが、雨が降るたびアメダスの数値を足し上げたものだ◆足し算を重ねるうちに「この降り方なら50ミリに届かないだろう」とか「80を越えそう」と肌で感じるようになり、国道が雨量規制されると150ミリも降ったのかと驚いた。このたびの台風19号がもたらした600ミリや900ミリといった雨量がいかに想像を超えていたかが実感される◆災害を受けて新聞各紙が社説で「スーパー台風は珍しくなくなるかもしれない」(中日)「早めの避難などのソフト対策の重要性を改めて確認すべきだ」(日経)と書いていた。行政は高齢者施設や病院を重点に検証と点検を進めてほしい。住民も備えへの意識を自ら高めたい◆決壊が例えば犀川や梓川で起きてもおかしくなかった。島崎藤村が「川向から聞こえる朝々の鶏の鳴声、毎晩農村に点く灯の色」と描写した千曲川。近しくて詩情を催す川の名だ。「こちらは大した被害がなくて良かった」で済ませてはならない。