連載・特集

2019.10.10みすず野

「友遠方より来る―」の原文は論語の一節で、「朋有り、遠方より来たる。亦た楽しからずや」と訳される。友が遠くから訪ねて来てくれ、これほどうれしいことはない、という意味だ◆カナダに住む友人が先日、父母の墓参りのためふるさとに帰って来て、共通の友と3人で、山峡の館に泊まって旧交を温めた。若い時分に知り合い、3人で飲み明かしたり、温泉に行ったりした仲。友人は32歳で東京に出、得意の英語を生かして、その後カナダに移住した。久しぶりに会ったが元気。外国にいると、いまの日本の国や社会の在りようがかえってよく見え、心配で仕方がないと言った◆それはさておき、還暦を過ぎると友だちが財産だということが身に染みる。人生が固まらない10代、20代に夢を語り合い、反面の苦しむ姿を見せ合った、いわゆる親友がいれば越したことはないが、親友でなくても、ほどほどにつき合える同級生や、趣味の会などで知り合った友がいるだけで、心の支えになる◆会社人生、仕事人生はいずれ終わる。仕事を通じたつながりは、その仕事と同時に切れる。仕事上の友人、知人しかいないでは、やはり寂しい。