連載・特集

2019.9.16 みすず野

 20年ほど前まで、その方が90歳と聞くと、ほおー、長生きのひけつは、などと思ったものだが、いまは驚くどころか、当たり前のようにすら思う、特に女性は。それほど長寿社会になった◆経済や医療の進展、保健施設や制度の充実が、それを実現させたのだが、幸せな長寿社会かというと、必ずしもそうとは言えない。一つは経済的な豊かさ、生活の便利さ、快適さを求め過ぎ、何でもどこでも経済力が幅を利かせて、もっと大事な心のよりどころをなくし、本当の豊かさを忘れてしまったこと◆二つめは、医療費、介護費など社会保障費が増大し続け、国の財政はもとより、それぞれの負担額も重くなってきた。現在の医療水準を維持するには、医療費を抑えなければならず、そのためには一人一人の健康度の向上が不可決で、少しでも健康寿命を長く保ち、平均寿命との差を縮める◆三つめは、住む街や地域のつながりの見直し。かつての縛り合う関係ではなく、互いにちょっと気にかけ、声をかけ合う関係。そんななかで、長生きしてよかった、幸せだ、と言える人が増えれば、良い超高齢社会を築けるのではないか。そうありたい。