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松本城薪能 二の丸に会場を移し幽玄の舞

二の丸御殿跡で披露される幻想的な舞(8日午後7時5分)

 日本の伝統文化に親しむ夏恒例の「第38回国宝松本城薪能」(松本市、市教育委員会主催)が8日、松本市の松本城二の丸御殿跡で行われた。平成14年以来、17年ぶりに本丸庭園から移された会場に野外舞台を設置し、優美な舞が訪れた観客ら約700人を幽玄の世界へ誘った。

 坂井音重師ら観世流一門が出演し、能は「杜若恋之舞」と「融クツロギ」を、狂言は大蔵流で「狐塚」の計3演目が上演された。杜若は、三河国で旅の僧が出合った草木の精霊が、伊勢物語の中で詠まれた「かきつばた」など平安時代の歌人・在原業平の和歌の功徳で救われた物語で、きらびやかな装束をまとったシテ方が香り立つような、みやびな舞を見せた。
 薪能を印象づける演出のかがり火はともさず、今回は強風のため神事のみ執り行われた。新たな市民ファン獲得のためゲーム企画を用意し、正解者には会場で先着順に特製のピンバッジが配られた。 
 今春のユネスコ世界遺産フランス・パリのノートルダム大聖堂火災を教訓に、国宝に指定されている天守の防火対策強化で会場を移転した。