連載・特集

2019.8.31みすず野

青畳の上で戦う4分間は長い。延長戦ともなれば相手の襟をつかむ力と集中力がどこまで残っているか。極限状況で繰り出した捨て身技の谷落とし。見事だった。塩尻市出身の柔道家・出口クリスタ選手の快挙である◆かわされたら逆にこちらがポイントを奪われるか、たちまち押さえ込まれてしまう。のるかそるかの技で世界チャンピオンの座を射止めた。本紙の記事で「体が勝手に動いた」と本人のコメントを読み、その積み重ねた稽古の厳しさと努力の程がうかがえた。ですよね、三四六さん!◆谷落としに思い出がある。〈好んで入るばかもいる 地獄の3丁目柔道部〉と歌った高校時代、全国大会の金鷲旗に開催県枠で臨み、とっておきの奇襲策だと顧問に授けられて猛特訓した。いきなり強豪と当たって5人抜きの完敗。あれほど強かった先輩も試合開始早々にあえなく宙を舞い、畳にたたき付けられた◆中学、高校の頃から見守ってきた人たちの喜びはさぞ。海外勢とも競い合い、技の鋭さが増したという。新女王は「たまたま勝てた。東京五輪では実力で投げたい」と頼もしい。郷里の声援を力に、さらなる高みを目指して。

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