連載・特集

2019.8.23みすず野

 「禾」は「のぎ」と読む。元は穂を垂れた稲の姿からきた象形文字だそうで、イネ科の植物の穂先に生えている毛のことである。稲穂は秋本番に向かって、少しずつ頭を下げ、黄金色に色づいてゆく◆残暑の厳しい日が続くが、実りの秋を迎えるには、この暑さは必要なもの。土手の草刈りに汗しているとき、ふとハギに目をやると、枝々の先に一つ二つ、小さな薄赤色の花を開いていた。ハギは『万葉集』で最も多く詠まれた花という。古くから日本を代表する秋の花、日本人に愛されてきた花なのだ◆オミナエシの黄色のかたまりも、畑地や山野でこの時季よく目にする。「淋しさに堪えて広野の女郎花」(正岡子規)。キキョウは秋のイメージが強いが、その紫や白色の花は、とうに盛りを過ぎている。民家の庭先でたまに見かけるのは、フヨウの紅色の大きな花。朝開き、夕暮れにはしぼんでしまう"一日花"だそう◆咲き始めは白く、次第に濃い紅色に染まる「酔芙蓉」という品種も。「ゆめにみし人のおとろへ芙蓉咲く」(久保田万太郎)。きょうは暑さが和らぎ、秋の気配が漂い始めるとされる二十四節気「処暑」である。