連載・特集

2019.8.19みすず野

 いまから300年ほど前、江戸時代の儒学者・貝原益軒が最晩年に『養生訓』(全8巻)を著し、いわゆるロングセラーになった。貝原は当時では大変な長寿の84歳まで生きたから、説得力十分だったに相違ない◆「養生の術をまなんでよくわが身をたもつべし」。その養生の術は、もっと食べたい、飲みたい、寝たい、遊びたいなどの欲(内欲)、夏の暑さや冬の寒さなど季節、気候の変化(外邪)が体調を崩す元だから、それらをほどほどにしたり、避けたりしなさいということである。「先わが身をそこなふ物を去るべし」◆そうやって長生きするのが一番、と述べている。現代の日本人は"健康オタク"というか"健康病"というか、健康にこだわり過ぎるきらいがあるが、健康寿命が延びるに越したことはない。この「健康」の言葉、いつごろから普及したのだろう。蘭学者の高野長英が『漢洋内景説』の中で、医学用語として用いたのが始まりらしい◆185年ほど前で、蘭学者の間に広まり、明治以降、一般化していった。残暑厳しく、盆や夏休みの遠出の疲れはこれから出る。熱中症などに気をつけ、秋の訪れを待ちたい。