連載・特集

2019.8.18みすず野

 知人が毎年この時季に桃を送ってくれる。いつもの塩尻産でないので訳を尋ねると、一番花も二番花も霜に遭って贈答用が収穫できなかったそうだ。代わりにおいしい安曇野産が食べられたのだが、塩尻の農家の落胆を思うと複雑な気持ちになった◆4、5月の遅霜ではナシの被害が広範囲に及んだ。昨秋は台風21号の強風で落果があった。農家の人に会うと猿害が話題になり「2年連続で収穫ゼロ」「もう農業をやめよう」と震える声も聞く。いくら自然が相手と言っても、給与所得者の月給がもし天候不順や獣害で減るとしたら。想像力を働かせたい◆平成30年度の食料自給率がカロリーベースで37%と発表された。小麦や大豆の減産などの要因があったとは言え、国が令和7年度に45%と目標を掲げるなか前年度より1ポイント減った。昭和40年度は73%で、平成に入って50%を割った◆農水省のサイトを見ると、ご飯を一日にもう1口、国産大豆の豆腐を月にもう2丁食べたら1%上がる―と載るが、理解はどこまで進んでいるだろう。この国の農業の将来像をどう描くか。国政選挙でも訴えをあまり聞かない。農産物は誰もが食べるのに。