連載・特集

2019.8.16 みすず野

 いまから15年ほど前、本紙「あの日 あの空―人生点描」で松本地方の100人の方々に登場願って、それぞれの半生を根掘り葉堀り伺い、一編の物語にまとめさせていただいた。うち、80人くらいが70、80代の戦争体験者であった◆九死に一生を得た方も少なからずおられた。「じいちゃんの背中の穴はどうしたの」と孫娘に聞かれ、「爆弾でけがをした跡だよ」と少し戦争の話をしてやると、孫は「痛かったか」と目を丸くしたという熊谷茂さん(塩尻市)。体に爆弾の破片24個を入れたまま戦後を生き抜いた◆中国戦線で現地の村長を捕まえては拷問にかける、残虐極まりない任務を遂行した小林唯雄さん(松本市)。「殺すか殺されるか、戦争とはそういうものだった」。旧満州で敗戦、ソ連軍に連行されてシベリヤ抑留5年の末、やっと帰国がかなった望月今朝人さん(旧豊科町)。「腹が減って腹が減って、人間何がつらいって、食い物がないほどつらいことはない」◆無謀なインパール作戦に従軍、奇跡的に生還を果たした宇留賀芳人さん(松本市)。「戦争に正義などない。命が一番尊いことを若い人たちに伝えたい」。