連載・特集

2019.8.14 みすず野

 盆とは、盂蘭盆のこと。インドのサンスクリット語のウランバナを音写したもので、元は祖霊を死後の苦しみの世界から救済する、という意味だそうである。陰暦7月13日から3日間を指したが、いまは月遅れの8月13日から16日まで◆先祖の霊を家に呼んで供養し、無事帰ってもらう期間だ。仏教の救済思想と神道の信仰が合わさり、さまざまな風習を作り上げて、独特の風情を醸し出してきた。その盆ならではの風情が薄れてきてしまったのは、寂しい限りだが、迎え火、送り火をたく家はまだ見受けられる◆塩尻市北小野上田の迎え盆「どんぶりや」は、子どもたちが束ねた麦わらに、火をつけて振り回し、夕闇に炎の輪を浮かび上がらせる行事。松本城公園の「お城盆踊り」は、大きなやぐらを組んで、その周りで繰り広げられる。これらは絶やすことなく続けてもらいたい、と願う◆暑い日差しにめげず、盆花、線香、水などを持参し、墓参りする家族の姿があちこちに。盆花は、仏壇を美しく飾るだけでなく、祖先の霊を迎えるための道しるべであり、正月の門松と同じく、霊を招き寄せる依代という。盆花も大切なものなのだ。