地域の話題

忘れられた奈良井営林署文書 保管と活用が課題

楢川支所の地下室に人知れず保管される奈良井営林署文書。支所移転後の行き先は不透明だ
 旧楢川村の林業を下支えし、平成7年に廃止された長野営林局奈良井営林署の公文書が塩尻市楢川支所の地下室に眠っている。営林署の前身時代も含めた明治36(1903)年~昭和39年の1736点で、郷土の林政史を伝える第一級の歴史史料とされるが、公開や活用には至っておらず周知もされていない。楢川支所は今秋、楢川保健福祉センターへの移転が予定されているが営林署文書の行き先は定まっておらず、今後の扱いが検討課題となっている。
 文書は木箱30箱余に分けて地下の一室に積み上げられている。各年代の日誌、事業録、例規録、庶務録、会計録などだ。一連の記録は昭和63年に始まった楢川村誌編さんで悉皆調査され、木曽谷における近現代の林政を著す上で役立てられた。これらの整理・研究を機に重要性が認識され、営林署廃止時に楢川村に寄贈された。  一方、文書はその後日の目を見ていない。当初は「歴史を解明するうえで重要なもので...公開が望まれ...活用が期待される」(『木曽・楢川村誌7巻』)と評価されたが実現せず、平成17年の塩尻市への合併以降は存在すら知られなくなった。かつて村誌編さんに携わった上條史生市立図書館長は「滅失は許されない」としつつ「公開活用されてこそ残った意味も増す。図書館としても郷土の紙資料を残し生かすために担える役割を考えたい」と話す。  一般的に、非現用文書(歴史資料)となった公文書は文書館管理が望ましいとされるが、市に同様の機能を有する施設はない。営林署文書以外にも村誌や市誌編さんに用いた史料、その他の郷土資料など膨大な記録が市内各地に散り散りに保管される中、総務人事課行政係は「ハコもの整備や人員配置の観点から喫緊に文書館を設けることは難しいが、市民共有の財産を利活用できる環境を整えていく必要がある」としている。