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県植物誌30年ぶり改訂へ 標本収集に市民も参加

 県内外の植物研究者らが編さんし、平成9年に発行された大著『長野県植物誌』を、令和9年を目標として30年ぶりに改訂する作業が始まっている。『植物誌』は、実際に採集した植物標本を基に、県内の各地域にどのような植物が生育しているのか、網羅的に記録した書籍だ。分布域が変化し、外来種も侵入する中、最新の生育状況を把握できるように改訂する。今回は専門家だけでなく、市民も参加して標本を集めているのが特徴だ。

 平成9年発行の『植物誌』は大学の教員や高校教諭らが約20年の歳月を掛けてまとめた。1700ページある大型本で、掲載した種は3000以上に上る。写真や文字だけでは記録としては不確実な部分が多いため、裏付けとなる標本のデータに立脚している。標本を収集、保管しておけば、後からデータを実物で確認できる。後世の研究にも役立てられる。
 県内では新たな在来種、外来種の記録が蓄積されてきたこともあり、県植物研究会のメンバーが母体となって、19人で改訂委員会(中山洌委員長)を結成した。平成27年、改訂に向けて動き始めた。調査には約10年を掛ける。標本点数の少ない地点を調べ、重点的に調査する場所も選んだ。開発などにより変化の激しい人里や身近な場所の調査も重要という。
 県内を松本・塩尻、安曇野、大北など10地区に区分し、標本を採集している。植物に関心を持ち、身近な自然環境に目を向けてほしいと考え、市民を巻き込んで実施している。委員と市民で計60人ほどが参加中だ。
 6日には安曇野市三郷地域の車道沿いでフィールド調査があった。豊科郷土博物館友の会に登録する市内外の人たちと、改訂委事務局の藤田淳一さん(41)ら9人が参加した。樹木のニワトコとオオニワトコの枝を切り、それぞれ採集した女性に藤田さんは「違いを見比べ、複数の図鑑で確かめてほしい」と助言した。植物を知りたいと今年に加わった松本市の女性(78)は「集めた標本が後世まで残るなんてすごいこと」と話していた。
 採集の参加希望者は、豊科郷土博物館(電話0263・72・5672)や大町市の大町山岳博物館(電話0261・22・0211)へ連絡する。