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北アのライチョウ消滅か 今世紀末温暖化で生息域減少

 氷河時代からの生き残りで「生きた化石」といわれ、国の特別天然記念物に指定されているニホンライチョウの生息に適した環境が、今世紀末に北アルプスでほぼ消滅する恐れがあることが10日、分かった。温暖化に伴いハイマツなどの高山植生が減少するためで、県環境保全研究所(長野市)などのグループが予測し、調査結果が英国の科学誌「エコロジー」の電子版に掲載された。生息可能地域に移動させるといったライチョウの保全策を進める必要があるとしている。

 県環境保全研究所、森林総合研究所(茨城県つくば市)、高知大学、東京農業大学による研究グループが、ライチョウの生息に適した環境条件が温暖化によってどのように変化するか予測した。
 北ア中南部(穂高連峰、常念山脈、薬師岳)の南北約30キロ、東西約20キロの範囲で調べたところ、ハイマツや雪田草原などの高山植生がバランスよく成立する場所でライチョウが生息する確率が高いものの、それらは温暖化により減少し、生息区域は今世紀末(2081~2100年)に現在の0・4%に減少するとしている。
 日本のライチョウは、北アなど中部山岳高山帯のみに隔離分布し、世界最南限の個体群。かつては八ケ岳や白山にも生息していたとされる。現在の個体数は2000羽弱まで減少していると推定される。
 温暖化の適応策として、ライチョウのひなを天敵や悪天候から人為的に保護する「繁殖補助」や、現在の生息域から他の生息可能な地域にライチョウを人為的に移動させる「移動補助」などの保全策を進める必要があるという。
 県環境保全研究所自然環境部の堀田昌伸部長は「保全策の効果を高めるためには、北ア以外の全生息域を対象に温暖化の影響を調べる必要がある」と話している。