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救急救命士大学院で研究 穂高消防署の齋藤祐介さん

 松本広域消防局穂高消防署の主査で消防司令補の齋藤祐介さん(42)は、救急救命士として第一線で活躍しながら国士舘大学大学院で学び、救急医療の知識を深めている。現在は博士課程3年目で最後の年となり、休日を利用して月に一度ほど大学に通い、自身の研究を進めている。「自分の疑問が解決するのが楽しい」と学びの喜びを語り、「現場でも学んだ知識やノウハウを生かしていきたい」と力を込める。

 齋藤さんは山形県出身で、北海道の専門学校を卒業後、平成12年に救急救命士として松本広域消防局に入った。安曇野市穂高有明に在住し、大学院では救急システム研究科に在学している。同科には修士課程と博士課程があり、社会人にも門戸を開いている。
 平成27年、同科の修士課程を修めた2人が講師を務めた研修会に参加し、働きながら学べることを知った。当時警防課にいた齋藤さんは病院の医師とやりとりする機会が多く、日頃から知識不足を感じていた。「教科書だけでは足りない。論文の読み方や研究のノウハウを知りたい」とすぐに大学の資料を取り寄せ、入試を受けて翌28年に修士課程に入学した。
 社会人の修士課程は1年間で、齋藤さんは週に1回都内のキャンパスに通った。救命医療だけでなく研究に必要な統計学や研究成果の発表方法などを学び、日頃の救命活動で疑問に思っていたアスファルトの材質と血の染み込み具合の違いを研究した修士論文は、論文として学会雑誌に掲載された。「単なる血の広がり方から推定する出血量は当てにならないと感じていた。研究をして、根拠を持って出血量について言えるようになった」と成果を喜ぶ。
 修士課程を終えた後、「まだ学び切れていない」とそのまま博士課程に進み、現在は低体温症についての研究を進めている。修士課程のころは出勤日の融通を利かせてもらったこともあり、計4年間の学びについて「職場の理解と協力があったから続けられた。本当にありがたい」と感謝する。
 終末期医療を受けている人への救急対応など、近年の救急医療に対する考え方は急激に変化している。「教科書では追い付かない。自分で論文を見て知識を深めることが大切」と力を込め、「日頃の救命活動も論文に基づいている。博士課程を終えても普段の活動で生まれた疑問を研究していきたい」と学びの意欲を持ち続けていく。