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三郷明盛出身の俳優 松本克平に光

 安曇野市三郷明盛出身の俳優で新劇史家の松本克平(本名・赤沢義巳、1905―95)さんを特集した展示コーナーが、堀金図書館に設けられている。黒澤明監督の『野良犬』(昭和24年)や熊井啓監督の『朝やけの詩』(48年)など多くの映画に出演し、舞台やテレビドラマでも名脇役として知られたが、市図書館ではこれまで取り上げたことがなかった。関連の著作やDVDを通して、市民に知ってもらおうと初めて企画した。

 3年目となる市図書館の郷土巡回企画展「あの時代を生きた人々」の一環で、第2次世界大戦下を生きた安曇野ゆかりの人物の一人として紹介した。
 旧明盛村に生まれた松本さんは旧制松本中学校(現・松本深志高校)に進み、同級の臼井吉見(文芸評論家)や古田晁(筑摩書房創業者)と出会った。早稲田大学文学部英文科に進学するも中退し、劇作家を志して東京左翼劇場の研究生となった。俳優に転向して『吼えろ支那』で初舞台を踏み、昭和9年に新協劇団の結成に参加したが、日本が戦争へ向かっていく中で「新協弾圧」により劇団を強制解散させられ、検挙された。
 戦後の昭和23年に俳優座に入団すると地味だが巧みな演技で重用され、亡くなるまで現役で活躍した。1960年代以降はテレビの時代劇で悪役を演じるなどお茶の間のなじみの顔となった。
 特集コーナーには、昭和42年に読売文学賞を受賞した『日本新劇史』や『八月に乾杯 松本克平新劇自伝』といった自著のほか関連書籍30冊余りが並ぶ。故郷での初舞台となった平成3年6月の三郷公民館公演の新聞記事などもある。特集を担当した中央図書館司書の三原千晶さん(28)は「これを機に市民に関心を持ってもらえたら」と話している。
 堀金図書館での展示は25日までで、その後27日から中央図書館に巡回する。

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