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お城薪能会場 二の丸跡へ 国宝の防火対策強化

 日本の伝統文化に親しむ夏恒例の「国宝松本城薪能」(松本市・市教育委員会主催)の会場が今年、松本城の本丸庭園から二の丸御殿跡へ17年ぶりに移される。能の幽玄な世界を深く印象づける「かがり火」の演出が薪能の魅力の一つだが、令和の新時代を迎えての初回は、国宝の防火対策を強化して企画された。ユネスコ世界遺産に登録されているフランス・パリのノートルダム大聖堂で4月に起きた火災が背景にある。

 パリの大聖堂の火災後、文化庁が国宝・重要文化財の防火対策の緊急調査と徹底を求め、対策の一層の推進を図るよう通知したことを受けて、市などは火気を取り扱う薪能の関係者と協議した。国宝天守と能舞台は数十メートルと近距離のため、万が一に備えて消防車両が待機するが、古風を重んじる祭礼の夜間行事のかがり火は「外せない」条件でもあり、万全を期した。
 松本城管理事務所によると、薪能は昭和57(1982)年に「お城まつり」の一環で始まり、同59年の第3回までは10月に市立博物館西側の中央公園で開かれていた。第4回(昭和60年)~第21回(平成14年)の18回は二の丸御殿跡を会場とし、発掘調査に伴って第22回(平成15年)からは本丸庭園での開催が定着していた。
 過去の実績からも管理事務所は「移転は特に問題ない。大勢に来てほしい」と話す。
 38回目となる今夏の開催は8月8日になる。観賞無料で、午後6時に開演し、「観世流」の能楽師が「杜若恋之舞」と「融クツロギ」の能2本、狂言の「狐塚」の計3演目を上演する。