政治・経済

松本市が市登録文化財制度を新設 財政支援の仕組みも検討

 松本市は本年度、文化財保護条例を改正し、市近代遺産に認定された歴史的建造物を保存活用するための「市登録文化財制度」を新設した。耐震問題などで解体や破壊の恐れがある貴重な建造物を「景観」として守る制度で、本格運用に向け、制度を補完する、対象建物を改修する補助金を含む財政支援の仕組みを検討中だ。資金援助を伴う市登録文化財制度が実現すれば、県内では初めてとなる。 

 1日の歴史的風致維持向上協議会(会長・梅干野成央信州大学工学部准教授、委員14人)に報告した。主管する市建設部の上條裕久部長は「文化財行政と街並み行政が一体となり、魅力と活力あるまちづくりをしたい」と述べた。
 市は「市歴史的風致維持向上計画」の重点区域である中心市街地約200ヘクタールの城下町区域内で、築50年以上の歴史的建造物を「市近代遺産」として27年度に登録を始めた。改修時の相談や助言など技術的支援が受けられる。昨年度末までの登録件数は120件だが、うち2件が所有者都合で除却されていた。
 新設した市登録文化財制度は国や県、市の「指定」の文化財に比べ、改修などの「現状変更」の規制が緩やかな内容となる。市近代遺産の登録建造物のうち▽歴史的景観に寄与▽造形の規範▽再現が容易でない―のいずれかの基準を満たしたもので、市文化財審議委員会の承認を得たものを認定する仕組みだ。
 市内の建造物で国の登録文化財は50件ある。設計監理費の国庫補助はあるが、改修費はなく支援は手薄な状態だ。千葉県佐倉市や京都府で自治体独自の財政支援を伴う登録文化財制度を設けている。市文化財課の大竹永明課長は「文化財としての価値を守りつつ1棟でも壊れないようにしたい」とする。