連載・特集

2019.7.15 みすず野

 ふだん海に接することがない山国に住んでいると、海は非日常の映像や思い出の世界であって、そのイメージは結構強い。映像だと、野村芳太郎監督の映画「砂の器」。故郷を追われた父子が、ぼろぼろになった白装束姿で、冬の荒海沿いを歩く姿は強烈であった◆同じ「砂の器」には、犯人の手がかりを求めて東北・秋田に出張した2人の刑事が、収穫のないまま帰る際、夕日の日本海の浜辺で、「色が濃いみたいですね」と眺める姿も印象的だった。思い出だと、小学校の修学旅行で行った江ノ島の海。映像、思い出、人それぞれである◆戦没学生の手記『きけわだつみのこえ』を連想する人がいたら、かなりの年配者だろう。大海原、潮、潮騒、磯、砂丘、港、漁船、魚の水揚げ、岬、灯台、ヨット、サーフィン、漁り火...思いつくまま挙げてみたが、海に関するもの、まだいくらでもある。そうだ、海水浴を忘れていた◆きょうは平成7(1995)年制定の「海の日」。それまでは「海の記念日」と呼ばれていたが、法改正で祝日になった。この夏、海水浴に遠出する人も多いにちがいない。良き思い出をつくられんことを。