連載・特集

みすず野2019.7.11

 7月は文月である。ただし、旧暦の文月は現在では残暑厳しい8月に当たる。なぜ、文月と呼ぶのか。その語源は、短冊に歌や字をつづり、書道の上達を願った七夕による説と、稲穂が膨らむころに当たるため、「穂含月」から転じた説があるという◆安曇野市出身の映画監督・熊井啓の代表作の一つに「忍ぶ川」があり、東京・浅草の浅草寺のほおずき市のシーンは忘れ難い。広い境内にずらり並んだ露店から、「ホオズキはいかが―」の呼び声が飛び交い、店々に吊り下げられた数千の風鈴が、いっせいに鳴り出すのだ。映画のシーンは、いまも毎年のほおずき市で存在する◆松本市城山、放光寺のほおずき市は14日、15日。子どもたちはその昔、ホオズキの実で遊んだものだった。果肉を出して皮だけにし、口の中に入れて吹き、音を奏でた。ホオズキは夏の風情を感じさせる植物と言える。文月に話を戻すと、私たちは手紙を書かなくなった、とつくづく思う◆一番はその必要性を失ったからだが、亡き著名人が残した手紙等を読むとき、意外な素顔や秘められた真情がわかる。時には手紙をしたためてみますか、文月にちなんで。