地域の話題

震災への備え十分に 松本震災きょう8年

 松本市南部を震源とする最大震度5強を観測した平成23年の「松本地震」(県中部地震)から30日で8年を迎える。死者1人、重軽傷者17人、6000棟余りの家屋に被害を出した地震の記憶は次第に薄れつつあるが、松本平では将来、糸魚川―静岡構造線断層帯などによる大地震発生が懸念されており、備えが必要だ。松本市などで「揺れやすさマップ」を作り、安曇野市版も調査中の信州大学震動調査グループの一員で信大理学部研究支援推進員・津金達郎さん(49)=松本市=に、県内の地震活動の現状や注意すべき点などを聞いた。

 ―近年の地震動向は? 
 長野県周辺に設置されている地震計の記録で興味深いのは、体に感じない揺れを含めた地震の観測数が近年、明らかに増えていることだ。かつては県内で月平均500回弱だったが、平成23年の東日本大震災以降は約700回に増え、28年の熊本地震以降は1000回を超える状態が継続している。なんらかの被害が出た「被害地震」は、県内で平成7年から東日本大震災までの約16年間で2回しかなかったが、以降では8年間で8回もあった。全国的に見ても被害地震多発県となっている。
 ―松本地方で大地震の恐れは?
 糸魚川―静岡構造線断層帯中北部区間(安曇野市明科~諏訪湖南方)で今後30年以内にマグニチュード(M)7・6程度の地震が発生する確率は13~30%あり、内陸性の活断層型地震の中では全国で最も高い確率だ。断層帯は"古傷"である構造線沿いに幾つもの活断層が走る状態。松本地方は「牛伏寺断層」があまりにも有名で危機感があおられてきた印象もあるが、大町市の盆地北端から松本市城山付近にかけて松本平東端を南北に走る長さ約35キロの「松本盆地東縁断層」がより長大だ。活断層の長さと規模は連動する傾向にあり注意が必要。ちなみに松本地震(M5・4)を起こした断層は、それらとは別の隠れた断層による。
 ―注意すべきことは?
 内陸性の地震は震源の深さと規模で被害が変わるが、「地盤」や「建物の耐震性」「土砂崩れ」に注意が必要だ。松本市街地は松本平の中でも多くの川が流れ込む低地で、粒子の細かな粘土や砂、その中間のシルトが厚く堆積した軟弱地盤が集中している。軟弱地盤は地下の震源から伝わる揺れが増幅されるため揺れやすい。古い建物は旧耐震基準の設計で、長年の地震で構造そのものが緩んでいる恐れもあり、耐震診断が必要だ。土砂崩れは松本平の東山で地滑りのリスクがあり、山間地で発生すると集落の孤立の恐れもある。
 ―みんなで気をつけたい。 
 自分が住む場所にどんな危険が潜んでいるか把握する必要がある。まずは、特徴を知った上でそれぞれにできる対策を立ててほしい。