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木曽・崖家の空き家に若い男女が日用品店

 木曽川にせり出すように建物が並ぶ木曽町福島の崖家造りの町並みで、長年空き家となっていた元薬局の店舗を若者が改修し「日用品店」を開いた。ガラス張りの調剤室、川側に開いた丸窓、箱階段などが味わいを生む店内に魅力的な日用雑貨が並ぶ。崖家の町並みは独特の景観で注目されつつあるが後継者難で空き家が年々増えている。町の人は開店を喜び、後に続く動きが生まれればと期待する。

 平成29年に東京から移住し、町地域おこし協力隊員を務める井上敬教さん(32)が店を開いた。人との出会い、販売を通じて生産から消費までの好循環を生もうという願い、さまざまな思いを「えん」の言葉に込めて「en―shouten」と名付けた。井上さんのパートナーで、アクセサリー作家の井尾さら紗さん(30)が合わせて東京から移住し、2人で店を営む。
 井上さんは愛知県出身で東京の大学を卒業後、20代後半で世田谷にバーを構えた。クラフト作品なども店で販売する中、物作りの現場を深く知りたいと願い、協力隊員となって木工品製作や林業などを学んできた。
 多くの出会いを得て木曽で店を構えようと考えていたところ、一昨年末に町内で開かれたシンポジウムで崖家の空き家問題を知り、出店を決意した。近くで菓子店を営む田口益生さん(46)が建物を購入して貸し、井上さんの志を応援した。
 建物は10年以上空き家だったといい、田口さんは「うれしい限り。あそこが開くことで、いい流れが生まれたら」と願う。まちづくり会社の役員としてシンポジウムを企画した建築士・中田充謙さん(48)は「お金をかけず崖家を活用する好例になる」と期待する。
 井上さんは「崖家をかっこいいと思う人はいる。私も崖家で何かやってみたい、と思えるきっかけになれたら」と話している。
 金曜日から月曜日までの午前11時~午後7時に開店している。問い合わせは同店(電話0264・24・0875)へ。