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伝統行事のコトヨウカ 入山辺・厩所のわら馬が六本木で展示へ

厩所集落の貧乏神送りのわら馬(今年2月8日)。虎屋の依頼で作ったものが、六本木で展示される

 一年の農事始めとなる「お八日」(2月8日)に無病息災を祈る松本地方の伝統行事「コトヨウカ」(国選択無形民俗文化財)で、貧乏神送りのわら馬焼き行事を継承している松本市入山辺地区の厩所集落のわら馬がこの夏から、東京都の六本木で展示される。室町時代後期創業の老舗和菓子製造・販売業「虎屋」(本社・東京都)の企画展で紹介する全国12カ所の伝統行事の一つに選ばれ、唯一の立体展示物として飾られることになった。今月末に住民が展示用のわら馬を作り、来月3日にも引き渡す予定だ。

 六本木にある虎屋直営店「とらや東京ミッドタウン店」内の併設ギャラリーで7月17日から12月2日まで開かれる第42回企画展「祭りを巡る」で展示される。民俗学者で作家の畑中章宏さん=大阪府=の協力で選んだ「全国各地の原初的な姿を今に残す素朴な祭り」を紹介する企画展で、約60点の全国の写真と共に並べられる。わら馬と一緒に、畑中さんが平成26年2月8日に撮影した厩所の写真6点も資料として添えられる。
 今年2月8日のコトヨウカの行事を虎屋の社員2人が見学に訪れて展示協力を申し出たところ、住民たちが快諾した。依頼をした営業企画部宣伝課の橋本恒平課長(38)は「直会にも参加し、厩所集落の住民のおおらかさと密なコミュニティーにうらやましさも感じた」と振り返り「各地の土地柄や生活様式に基づく行事を通じ、日本文化の多様性を感じてもらえれば」と話す。
 今年の行事で、河原で焼くわら馬を先導する先達を務めた原・厩所町会の中野博充町会長(70)は「依頼にわざわざ足を運び、直会にも最後まで付き合ってくれた2人の誠実さに感じ入った」と目を細める。「この片田舎の行事が世間に知られるのはありがたい。本来の素朴さは大切に、きれいなわら馬に仕上げたい。展示されたらぜひみんなで見に行きたいね」と笑顔を見せた。

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