地域の話題

高齢者の運転免許証自主返納 安曇野署管内で増加

 高齢ドライバーが起こす死亡事故が全国で相次ぐ中、安曇野警察署管内で運転免許証を自主返納する人が増えている。5月は前年同月の約1・6倍(17人増)に当たる44人が返納し、6月に入ってからも一日3~5人が手続きに訪れているという。一方で「返納したいが、車が無いと生活が成り立たない」といった切実な声も聞かれる。

 同署によると、東京・池袋で高齢者が運転する車が暴走して母子2人が亡くなった4月19日の事故以降、目立って返納の件数が増え始めた。本人申請なら免許証を持参するだけで手続きでき、家族の場合は所定の委任状が必要になる。金融機関などでの身分証明書になる「運転経歴証明書」(有料)もその場で申請できる。混み合っていなければ手続きにかかる時間は15~20分程度だという。
 安曇野市は、免許証を自主返納した市民を対象にデマンド交通(乗り合いタクシー)「あづみん」の回数券9000円分を交付している。市役所の地域づくり課が窓口で、返納時に交付される「申請による運転免許の取消通知書」(発行から1年以内)の原本を申請の際に持参する。
 あづみんは現在14台で運行し、一日300~400人が利用している。一方で、運行範囲が合併前の旧町村である五つの地域ごとのため、他地域に移動するには原則「共通エリア」としている豊科の市街地で乗り換えなければならない。豊科光に娘夫婦と暮らす87歳の男性は「あづみんでは生活できない」と話す。免許の返納を考え、試しにあづみんで自宅から穂高の穂高病院に行ってみたところ、乗り換えに不便を感じた。「休祝日に運行していないのもつらい。娘夫婦に掛ける送迎の負担を思うと決断ができない」と悩んでいる。
 安曇野警察署交通安全課の原田篤志課長は「免許の返納とその後の生活には、家族の協力が欠かせない。自主返納が増えるのは良い流れだが、まずは家族でしっかりと話し合いをしてほしい」と呼び掛けている。