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中高年の引きこもり、実態つかめず 顕在化しにくく支援進まず

松本市の市民相談課の窓口。引きこもりの子を持つ高齢の親からの相談が行政にも寄せられている

 80代の親が、引きこもりの50代の子の面倒をみる「8050問題」が、松本市でも問題化している。市高齢福祉課によると、高齢の親への虐待や年金の搾取といった相談が寄せられている。ただ、世間体を気にして引きこもりの存在を隠す家族も多いとみられ、市内にどれほどの該当者がいるのか実態の把握はできていない。行政による支援がなかなか進まないのが現状だ。

 市市民相談課によると、引きこもりに関する相談は年間1~5件ほどで推移しており、数は多くない。ただ、家族が相談しないために、顕在化していないケースも相当数あるとみられる。
 近年は高齢になった親が子の将来を案ずることで相談するケースも現れ始めているという。同課の内山博司課長は「相談件数は少ないが社会問題として深刻だ。今後、行政としても何らかの支援策を考える必要がある」とする。
 子供の不登校に関しては、松本市は不登校支援アドバイザーを配置し、子ども支援・相談スペース「はぐるっぽ」を設けるなど支援を進めているが、中高年の場合は支援が困難だ。県松本保健福祉事務所が引きこもりの家族を対象とした交流会「ひきこもり家族教室」を開くなど行政による支援もあるが、まだわずかにとどまっている。
 今年3月に内閣府が公表した調査結果だと、40~64歳で家族以外とほとんど交流せずに半年以上、自宅に引きこもる人は全国で推計61万3000人いて、15~39歳の54万1000人を上回った。県が主導して市町村ごとの調査を実施しており、6月末にも県内各市町村の実態が発表される見通しだ。
 松本市は高齢者の生活を地域全体で支える「地域包括ケアシステム」の構築を進めており、引きこもりの実態把握後に「8050問題」を抱える高齢者への支援を検討する考えだ。市高齢福祉課の平林恭子・介護予防担当課長は地域包括ケアシステムについて「当初は認知症患者の情報共有を視野に入れていたが、引きこもりの家族を持つ高齢者も対象としたい」とし、「社会から孤立させず地域で支え合うことが必要になる」と話している。

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