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上松の中山道復刻へ 伊能忠敬の測量図で

 上松町観光協会は本年度から、江戸時代に町内を通っていた旧中山道の復刻事業に取り組む。江戸後期の地理学者で測量家・伊能忠敬(1745~1818)の測量図を、旧中山道復刻に向けたルート決定に使うことから、「伊能忠敬と歩く中山道復刻事業」と銘打ち、初年度は町北部の500㍍区間を復元する。次年度はガイド育成やマップ作製などに取り組み、旧中山道を歩く旅行者の誘客につなげる考えだ。

 町は江戸時代に中山道の宿場「上松宿」として栄えたが、昭和25年の大火で町並みは焼失し、ほとんど残されていない。旧中山道も国鉄や国道の開通といった近代化の中で歩かれなくなり、一部区間を除き、ルートは分からなくなっていた。このため、町では長く旧中山道をうたった観光を打ち出せなかったが、平成28年4月に、木曽地域の文化財を織り込み、江戸時代から現代に至る木曽の歴史を伝える物語(ストーリー)が「日本遺産」に認定されたことを受け、町内でも失われた旧中山道の復刻に向けた機運が高まった。
 初年度は、木曽川左岸にある新茶屋地区から、国道19号「上松第3トンネル」付近にある笹沢地区までの山中を通る500㍍を復刻する。松が生い茂り、道は失われていたが、伊能が文化6(1809)年に第7次測量をした際の測量図や、明治時代初期の測量図、GPS(衛星利用測位システム)を使った実地調査図をパソコン上で重ね合わせ、伊能が歩いたとみられるルートを割り出した。
 危険箇所や現在では歩けない区間もあるため、夏の間に伊能ルートにより近く、安全で歩きやすいルートを決定する。その後、住民にも参加を呼び掛け、路面を覆う土砂を除去・床ならしをして復元作業を行う。
 このほど、町観光協会総会で同事業を含む新年度事業が承認された。見浦崇事務局長は「町内の旧中山道を踏破できるようになれば、観光客の呼び込みにつながる。町の活性化にもつなげたい」と話している。

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