連載・特集

2019.6.9みすず野

 詩人の薄田泣菫が随筆で、風変わりな沈黙家と呼ぶのはカタツムリ。アマガエルが着の身着のままどこへでも出掛ける芸人なら、荷物をひっくるめて背負った〈霊場めぐりの巡礼〉だと。アジサイの葉陰で最後に見たのはいつだろう◆安曇野市の中央図書館に出向き、雨の日に楽しめる書籍コーナーの一冊から拾った。梅雨に親子で足を運んでもらう趣向だ。降りこめられた休日の読書ざんまいもいいけれど、書家の篠田桃紅や随筆家の大村しげは出歩くのが好きだと書く。〈蛇の目傘の雨音〉を聞きながら◆「梅雨時でも火の用心」と記事にあった。久しぶりに動かした冷房機器からの発火や、晴れ間のたき火の延焼で火災が増えるという。水害や土砂災害への備えも万全を期したい。今年から避難のタイミングが5段階の警戒レベルで発令される。2で行動を確認し、高齢者などは3で避難、4で全員避難だ◆災害さえなければ雨は農地を潤し、心に平穏をもたらす。一方で蒸し暑く、気がふさぐ季節でもある。〈こころをばなににたとへん/こころはあぢさゐの花〉朔太郎の詩を口ずさみ、サクランボを食べて蛍狩りにでも出掛けるか。