連載・特集

2019.6.11みすず野

 旧暦の5月は皐月で、いまでもよく用いられるが、6月の水無月はほとんど使われない。梅雨期に水無月がそぐわないからだろう。旧暦の6月はいまの7月ころである。それでも水無月はピンと来ない◆調べてみると、水無月の「無」は、連体助詞で「の」を意味する。したがって「水の月」ということだと。これは一つの説である。梅雨入りしてから、梅雨らしい天気が続いている。年によっては、梅雨入りした途端青空が広がって、空梅雨を思わせるが、ことしはそうでもなさそう。梅雨期と言えば、風物詩の一つがホタル◆近年は、中信地方のそこかしこでホタル復活作戦が実を結び、幻想的な舞いが見られるが、もっと蒸し暑くならないと、出てくれない。しとしと降る雨は、静けさをもたらし、仕事や雑事に追われる生活ではなく、「暮らす」という感覚を呼び戻してくれる◆暮らすは「暗くする」から来ていて、暗くなるまでの時間をどう作るか、また暗くなってから、「明かす」までどう過ごすかを思わせる。生活するというより、暮らしたい。暮らしをできる限り自由に創造したい。6月はそんな月なのではあるまいか。

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