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松本市立病院の分娩数減 顕著 昨年度346件 過去最低に

 松本市立病院(波田)の分娩取り扱い件数が昨年度に400件を割り込み、346件と過去最低になった。少子化の進展で3市5村の松本医療圏全体でも分娩数は減少傾向にあるが、市立病院は27年度以降、右肩下がりと顕著だ。産婦人科と小児科を備える「周産期医療」は同病院の看板部門で、松本医療圏を支える機能の一つでもある。療養環境の向上など「選ばれる病院」づくりは必至で、老朽化の施設課題も抱えつつ職員が現状改善に苦慮している。

 旧波田町と合併当時の平成22年度の608件に比べて4割以上減った。27年度は経営が赤字に転じた時期と重なり、28年度には500件を割る495件、29年度は412件となった。昨年度は1日1件に満たなかった。病院局は築30年以上の建物の老朽化や狭あい化、周辺の分娩医療機関の充実も影響したとみる。
 県松本保健福祉事務所によると、松本地域の分娩数はここ10年間3400~3700件台で、29年度が3471件で前年より100件余減った。
 一方、27年度に分娩を再開した横西産婦人科(松本市島立)は28年度に155件、29年度に268件、30年度に334件と伸びた。妊娠初期~産後に寄り添う対応やホテル並みの設備が特徴でもある。ただ受け入れに限界もあり、横西哲院長(39)は「リスクを考慮して各施設にある程度分娩が分けられることは必要」と話す。
 市立病院は、昭和30年に産婦人科病棟を新設し、同36年に小児科を設け、周産期医療体制を整えた。現在、非常勤を含め産科5人、小児科3人の医師を確保し、双子などの「リスク分娩」にも対応する。妊産婦が入るのは「混合病棟」のため、他の患者との入院区域の分別や消臭対策にも配慮している。経営改革優先で新病院の建設計画は未定のため、斉川久誉局長は「ハード面が解決しないと難しい部分も大きい。出産の件数をどう維持するか課題だ」とする。
 分娩件数が減少傾向にあった丸の内病院(同市渚1)は昨年度、前年度並みの564件だった。29年に助産師中心の「院内助産」を始めた。分娩費用を引き下げ、来春には新外来棟に産科外来を移転させる。妊産婦の高齢化なども踏まえ、同院母子医療センターの有賀明子看護師長(44)は「何が求められているのか医療現場もアンテナを高くする必要がある」と話す。
 産科医不足といわれる一方、それを上回る勢いで出生数が激減しており、丸の内病院の北村文明産婦人科部長(65)は「医療機関の存立の危機にある」と話している。