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エリ穴遺跡の報告書刊行 松本市が発掘調査の記録で

 松本市は、内田にある縄文時代の「エリ穴遺跡」の発掘調査報告書を刊行した。国内最多の土製耳飾りや他地域との交流を物語る珍しい土偶などが多数出土した遺跡で、平成7年の発掘に始まる調査の成果を、1280ページに上る全4冊(A4サイズ)の報告書にまとめた。一般向けにも有料で頒布している。

 市文化財課によると、エリ穴遺跡は重要文化財・馬場家住宅の敷地を含む一帯に広がる縄文後・晩期(4500~2300年前)の遺跡で、農地改良に伴う発掘調査で2643点の出土品が見つかった。うち484点が今年1月に市重要文化財(考古資料)に指定された。
 縄文後・晩期の遺跡は県内では珍しく、住居数は少ないものの継続的な生活が営まれたとみられる。装身具の土製耳飾りが多数出土する性質などから周辺の集落から人が集まり祭祀や儀礼が行われた拠点的な集落だったと推定される。
 東北地方の遺跡によく見られる「亀ケ岡式図柄」が施された「人面付き土版」や、東海・関西地方に多い分銅型の土偶形状に甲信越地域に多い豊かな表情の顔面表現が混ざった独自の「顔面付き分銅型土偶」は、他地域との盛んな交流をうかがわせる。
 埋蔵文化財担当の三村竜一課長補佐(55)は「歴史的・美術工芸的にも誇れる価値のある内容。今後、展示などでも調査の成果を分かりやすく紹介していきたい」と話している。
 冊子は市中央図書館でも閲覧できる。市民向け頒布は100部(計4冊セット)限定で税込み1万円。問い合わせは、市考古博物館(中山)内の文化財課埋蔵文化財担当事務所(電話0263・85・7064)へ。

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